もみじの記録

ある日、腹痛が。そこから治るまでの記録の予定。

腫瘍マーカーと痛みの原因

採血をした1週間後。

再び婦人科へ行くと、診察室に入りドアを閉める前に先生が話始めた。

『数値がね、高いんだよね』

CA250が、1710
CA19-9が、541
単位はよくわからないのだけど、どちらも基準値が40ない位だっていうから驚きだ。

『僕の経験からしてこれはチョコレート嚢胞だと思うんだけど、数値が高すぎるから大きい病院でMRIを撮ってもらおうね』
たまたま飛び込んだこの婦人科の先生が、ガンが専門の方だったらしく『大丈夫だと思うよ』と色々話してくださり安心させてもらった。

しかし!
私はこの時全然心配してなかった。
なぜなら、数年前私の母に卵巣ガンが見つかり、その時のマーカーの数値が「測定不能」の域になっていたからだ。
測定不能、万単位の数値だったとか。
たしかにガンではあったが、現在母は元気だ。
1710なんてたいしたことない、ちょーよゆーなんて思ってた。

あの激痛が来なければね、って事で腫れた卵巣とあの激痛に関係があるのか聞いてみた。

そこで、私は戦慄する。

なななんと、あの激痛は生理痛なんだそうだ。
たしかにたしかにあの夜生理になった。
今思えば激痛の始まりが生理の始まりだった気もする。
なんてことなの、ガンかも知れない事よりも、あの激痛が毎月来る方が嫌でしょうがない。

常に痛いのに、生理になれば出産に勝るあの痛さがやってくる。
やだよー、やだよぉ。
ガンもいつも痛いのも月1で痛いのも全部やだよぉぉぉー!


とは言っても鎮痛剤と仲良くしながらどうにかするしかない。
紹介状を頂き、大きい病院へ行くことにした。

婦人科で

婦人科で内診をしてもらうと、あっさりと痛みの原因が判明した。

卵巣が腫れていた。
それもなかなかのサイズに。

まだ確定ではないけれど…
と話始めた医師によると、おそらく「チョコレート嚢胞」だろうとのこと。

なんてキュートな名前としか思ってなかった私に医師は子宮内膜症の冊子をくれた。
私、内膜症じゃないんだけどな…
生理の痛みひどくないし、量も普通だし。
と思ってたら、内膜症って子宮本体だけに発症するものじゃないのね。

卵巣内膜症なるものらしく、何らかの理由で卵巣内に内膜が入り込んで生理の度にそこから出血するらしい。
子宮と違い血液の出ていく先がないもんで、どんどん膨らんで行くしかないようで。

『破裂するからね』


え?


『稀だけどガンにもなる病気だから、腫瘍マーカーやってみようね』


ガン?




その日は採血をして、痛み止めをもらって帰宅。

痛みの原因が分かってスッキリしたのと、新しい情報がたくさん必要でアワアワするのと、破裂するとかガンとかいうからなんか怖いのと。
なんとも言えない夜を過ごしました。



…でも待てよ。
卵巣が腫れているからってなんであの激痛が生まれるの?
胃とか腸とかの辺りが痛かったのは卵巣のせいなのか?
とりあえず鎮痛剤とお友達になりながら、情報収集しながら次の診察まで待つとしよう。

破裂だけはしないでくれと願いつつ、またしばし日々を過ごす事にした。

診断

2度目の救急へ行った次の日、痛みは昨夜ほどではないものの継続していて朝から病院にいた。
3時間ほど待たされ受けた診察で下された診断は

『膀胱炎』

えぇーーーっ!
膀胱炎ってこんなに痛いの?!しんどいの?!

…恐るべし膀胱炎…
と戦慄していると、慢性の膀胱炎は菌をしっかり殺さないといけないと殺菌剤の説明をし始めた先生。
10日間は必ず飲んでくださいね、とお薬を頂きました。
培養に出しておくからーってことだったので尿を託し帰路につきました。

殺菌剤を飲めば膀胱炎の痛みはすぐになくなると、膀胱炎経験者の家族の話もあり早速飲み始める。


1日経っても痛みは無くならず、2日経っても何も変わらず。
念のためもらった鎮痛剤もまったく効かず、こりゃまいったぞと、またあの痛みが来たらとドキドキしてしまう。
痛みが引かないことと、そもそも頻尿や排尿痛がない膀胱炎なんてあるのか?との疑問もあり、効く鎮痛剤をもらうべく再び病院へ行くことに。
前回とは違う医師に診てもらい、今までの経過と現状の説明をする。
『押すと痛みを感じる部分はやはり膀胱ですね。
頻尿や排尿痛はどうですか?』
と聞かれたので、腹痛の始まりが尿道ギューッだっただけでそんなのはそもそもないです、最初からそうお伝えしてたのですが…と言うと先生もカルテを見て固まっていた。
尿検査の結果も聞きたかったのだが、培養には1週間かかるとの事で後日また行くことに。
ここでなーんか違うなーと思い始める。

膀胱炎以外で可能性があるとしたら何か、また他にかかるとしたら何科がいいか相談したところ、どちらも分からないとおっしゃる先生。
そうなの?
とりあえず別の科に行きたいんだけど、目星をつけて紹介状書いてもらえる?って聞いてみるも、いらないからそのまま行って良しとの事。
そうなの???

投げ出された感に苛まれつつ、どうしたもんかと途方にくれる。

私の内臓達よ次はどこか、と聞いてみる。
痛いのはここだぜと答えてくれる。
お前だけだぜ、私の声を聞いてくれるのは…

なんて孤独ゴッコをし出す。
こんなときは大抵あきらめて内に籠って充電したいとき。
いやいや、痛みはどうにもならんぞと自分を奮い立たせ次の受診先を探し始めた。

実はもっと早い段階で受診すべき科があった。
婦人科だ。
しかし、この街の婦人科はあまり数がなく、うち1つは市立病院。
もう1つは完全予約制の1ヶ月待ち。
あとはやってるのかやってないのか分からないような閑散とした医院のみ。

行きづらく敬遠していたが、行かねばか…。
意を決してとある婦人科の扉を開いた。

激痛とはこの事かッ

2度目の内科受診から半月ほど経ったある夜。

人生で一番痛かった、これが激痛かって痛みに襲われた。


始まりは尿道の先っちょがギュゥーッと縮む様な感覚。
お?なんぞ?初めての感覚!って思っていると、それがどんどん内部に移動を始めた。
んんん?とその感覚を辿っていると膀胱の辺りがムギューッ!っと痛みだした。
あの数ヵ月前の、差し込む様な握りつぶされる様な痛みが膀胱に再来!
と思うが先か、その痛みが腹部全体に広がりあっという間に歩けないほどになってしまった。

救急にかかった時は徐々に痛みが引いていったので今回は少し様子を見てみようと、思考は痛みに支配されつつあっても結構冷静。
這いつくばってなんとかベッドにたどり着き、耐える。
謎の痛みに悶え脂汗しつつ、あの何も感じない健康な日々よ早く戻って来ておくれーと祈りながら…。



いや無理だし!

もうあかん!


って、またも家族に病院へ連れて行ってもらうことに。
時間が早かったこともあり、市立病院とは違う救急へ。
車の後部座席で丸まり痛みに耐える。
病院に着いて歩こうと思っても、勝手に身体がお腹をかばって歩けないんだよね。
なんとか待ち合い室にたどり着くと看護師さんが来てくれて、言葉をかけてくれる。
あぁ、これが白衣の天使やな。
手の暖かい方言も暖かい優しい声の看護師さん…。

いよいよ医師の診察になるも、首をひねるばかりの先生。
ようやく発した言葉が『痛みが引かなかったら入院ねー』
おーぅ。
ここでも分からないのかーい。

筋肉注射だからね、ごめんねちょっと痛いよ。
って打ってもらった注射の痛みを全く感じなかったのがすごく不思議だったなー。

幸い筋肉注射が効いたらしく、ゆっくりなら歩けるように。
明日診察にくるんだよって言われ、その日はそのまま帰宅。
痛いながらもなんとか眠りにつきました。

内科アゲイン

初めての内科受診から更に1ヶ月経った頃。

右脇腹の痛みは強くなっていて、触るとなんだかゴリゴリしたものがあるような。
他にも痛みを感じる場所も出てきていたので、「お痩せになってるから病院」以外の病院へ行ってみた。

そこはその時間にたまたまやっていたから入っただけの病院。
以前強い痛みがあったこと、徐々に強くなっている痛みが続いていることを伝え診てもらう。
触診で痛い位置を伝えると『ここは肝臓だねぇ、ちょっと大きいかなぁ』と先生。
なんだ、ちゃんと分かるじゃん!私の臓器!とここで勝手に先生を見直す。
あの医者はなんだったんだっ!と思っていたら、『腸がよく動いてるから大丈夫。整腸剤飲んでみてー』とのことで。

胃薬と整腸剤もらって帰りました。




って肝臓全然関係ないじゃん!

真面目に整腸剤飲んだところ元々良い便通が更に良くなった!
ありがとう、先生。
お腹の調子、すこぶるいいぞっ☆



…痛いけど。シクシク

内科診察

痛みで目が覚めたあの夜の後は強い痛みを感じることなく過ごしていたが、お腹の何かがツーっとするような…そう、ご飯を食べてすぐ走り回った時のような痛み、それなりの強弱はあるものの右の脇腹に常にその痛みを感じるようになっていた。

夜間救急でお世話になった病院へ行くことも考えたが、あそこは医療過疎地と呼べるこの街の市立病院。
ちょっと診てもらおうってな気分で行けるようなところではない。(おじいちゃんおばあちゃん的な意味で)
特に社畜体質の私は仕事を休むなんて考えられないし、休みの日はやりたいことがあるのだ。
違和感と痛みはなくなることはなかったが、気にはしつつもやり過ごすことにした。

2カ月ほど経ってからだろうか。
右脇腹に感じるモノは相変わらず存在し続け、なくなりそうもないのでいよいよ病院に行くことにした。
とりあえず空いてそうな内科ってことで、行ってみたんだけども…

触診中。
うーん、分からないなぁ、と悩ましげな先生。
『あなたお痩せになってるから、他の臓器が触れちゃってよく分からない』
って「えーっ!」って返すしかないよね。

内科医の見解『お痩せになってるから、分からない』
問診と触診のみで終了でございました。
ステキなネタをありがとう、笑いは最高の薬だよと心で伝え、病院をあとに。

いやいやいや、欲しいのはネタじゃないんだよなぁー!
と、右脇腹を押さえつつこの日は帰宅する他ありませんでした。

まあ、あとで家族といっぱい笑えたからいいんだけどね。

始まりの続き。

師走を駆け抜け、年が明けて数日経ったある夜。
突然の腹痛で目が覚めた。
ヘソを手で覆うと丁度隠れる範囲の表面辺りが痛い。
ググッと差し込む様な痛みと、中身をギュッと潰されてる様な嫌な感覚。
お腹を出して寝ていたから冷えたのだろうか…唸りながらトイレへ行き用を足すも痛みに変化なし。

腸捻転か、食中毒か、ここにあるのは胃なのか腸なのか。胃下垂でもっと下にあるとしたらここにあるのはなんなのか。
痛みに耐えながら巡る思考に流されていると吐き気まで出てきた。
あーこりゃいかんよ。
病院行かないと手遅れになるわーなんて早くも絶望に飲み込まれた私は眠る家族を起こし、病院へ連れてってもらう事にした。

到着した市立病院ではエコーや触診をしてもらった後に、夜間救急とは診断をする場ではないと説明を受け、うん、知ってた、これ以上ひどくなるような所見がなければいいの、と言って帰ってきた。その頃には痛みも多少楽になっていて、フン詰まりだったら恥ずかしいな~なんて思う余裕も出てきたりして。
帰宅して何とか布団に潜り込み、唸りながらもいつの間にか眠ってしまった。

朝になると痛みは全くなく、昨夜のアレは夢だったかと思うほど。
しかし、電気毛布など用意してくれていたので夢ではないなと、支度をして仕事に出掛けたのであった。


これが1月の始め頃。
強い痛みを感じた初めての夜の事。